有職畳のご紹介
 有職畳は伊勢神宮などの神社や寺院で、また、京都御所やその他皇族が儀式の際使用する特殊畳として、京都市内で全国の85%近くが生産され、全国に納品されています。その中の御帳台は厚畳、八重畳、龍鬢、御茵の四つの畳によって構成され、古来からの畳の特色が残っています。仏前の格式空間でも有職故実に基づいた調度品として、六角鐘敷台・拝敷・礼盤などが仏前用の座具として用いられています。


御茵
 畳表を縦と横に数枚かさね縫い上げ御茵の芯として使用します。その上に綿を厚さ3cmほどに敷き、上から白絹でできた鏡といわれる布をかぶせます。そして、四方を古代大和錦や繧繝縁等で仕上げてあります。鏡のところには十六菊の御紋や神社の社紋・唐草等で日本刺繍を施してあるものもあります。縁には本大和錦や古代大和錦の絹縁が主に使用されることが多く、また、繧繝縁を使用することもたまにはあります。御茵の縁と縁があう四隅のところの柄をあわせるのに高度な技術が必要です。裏には赤色の絹布等がが使われます。

龍鬢
 御茵の下にはいる一枚の龍鬢畳表でできたござです。龍鬢には四方縁のものや二方縁のものがあり、龍鬢表のところには大きな龍の絵や小さな龍の日本刺繍が三匹から八匹、昇り龍や下り龍が刺繍されています。縁には古代本大和錦や本大和錦の緑色の縁が使用されることが多く、龍鬢の裏側には緑色の絹布が使用されることが多い。

八重畳
 奈良時代の古事記では菅畳八重、皮畳八重、絹畳八重等の記述がありますが、菅畳・皮畳・絹畳などを幾十にも重ねたものを使用しておりましたが、その後、畳を八重に敷くという形が有職故実(朝廷・公家を始め、武家・神社などに伝えられる法令や儀式の規定・慣例など)となって今日まで伝えられています。八重畳は8枚のござに重ねあわせますが繧繝縁の菱形模様が8枚全体で一つの菱形になるようにつくられており、この緻密な細工には高度な技術が必要とされます。

厚畳
 厚畳は普通の畳より厚く(8〜11センチメートル)つくられています。御帳台では一番下の畳として使用されており2帖、もしくは、1帖で使用されています。昔は、天皇や皇族が厚畳の上に御茵を直接おいて使用していました。